木村 佳則
ホーランエンヤ体験記/2009年5月20日、中日祭


 
 
 5月20日(水)は、ホーランエンヤの中日祭である。天気は日があたり、暑いくらいである。良い天気なのは間違いないが、見る側からしたら、少々きつい天候である。大学の講義に出なくてはならなかったため、阿太加夜神社での朝の神事を見ることはできなかったが、多くの人のお目当てである櫂伝馬踊りには間に合った。阿太加夜神社に来る途中は、初日より、幟の数は少なく、平日ということもあり、祭りの雰囲気は感じられなかった。しかし、阿太加夜神社周辺は祭りムード一色であった。
 
 櫂伝馬踊りが始まった。順番や衣装、踊りの内容は初日と変わりない。初日より近いところで見ることができたので、また一層の迫力を感じた。橋の上には相変わらずたくさんの人がいる。小学生や幼稚園児が学校の活動の一環として見に来ていたようだ。小学生・幼稚園児のほとんどはマスクを着用し、一般の方もマスクをしている人が多かった(写真10)。新型インフルエンザの影響だろうと考える。船の出発のところに行くと、地区ごとに自分の地区の船を応援する様子が見られた。この日は風が強かったせいか、櫂伝馬船が岸にぶつかりそうになる場面もあった。
 
写真10 マスクをする小学生たち写真11 阿太加夜神社付近仮設トイレ写真12 栗まんじゅう屋さん
 
 櫂伝馬踊りもいったん休憩し、櫂伝馬陸踊りの準備を進められる。私たちも休憩することにした。阿太加夜神社周辺を歩いてみると、いたるところに仮設トイレが設置されていた(写真11)。トイレはあまり混んでいないようだ。小学生の見物席はすでに確保されていた。出店は初日よりも多く出ていおり、特に「栗まんじゅう」が多く見られたような気がする(写真12)。「かき氷」がよく売れる天気である。
 
写真13 行列先頭 山中鹿之介隊写真14 行列にいた男の子写真15 行列にいた女の子
 
 櫂伝馬陸踊りの準備ができたようだ。陸用の船を準備し、その上で櫂伝馬踊りを披露する。先頭は「山中鹿之介を大河ドラマに」という幟を持った人が数人鎧を身に付け歩いていた(写真13)。正装で行列に加わる人や子どもが鎧を着て歩いていた。とても暑そうだった。また七五三なのか、地区の記念なのか、女の子や男の子が着飾ってともに歩く姿も見られた(写真14・15)。その後に阿太加夜神社の氏子であろう男衆が掛け声をかけながら練り歩く(写真16)。そして、陸船がやってきた。櫂伝馬船の漕ぎ手は陸船の引き手になり、剣櫂、采振り、太鼓、声出しは船に乗り、勇壮に櫂伝馬踊りを披露していた。間近で見ることで、また違った迫力、感動を覚えた。櫂伝馬船の乗り手、踊り手の人も暑くて、水分補給をしていた。またそれぞれの櫂伝馬船の前に、獅子舞や打ち出の小槌を持った人、女形、侍など地区ごとに趣向をこらしたことをしていた。通りには幾重にも人が重なり、無法地帯と化していた。外国人の人もいた。その人は学校のALTらしく、生徒が櫂伝馬船に乗っているという話をしているようだった。通りの二階の家から見ている人もおり、絶好のポジションであると感じた。船のデザインは地区ごとに様々であり、きれいであった(写真17)。酒を配りながら歩く人がいた。獅子舞が子どもなどに、わざと噛みついて見せたり、打ち出の小槌を持った人が子どもなどに、小槌を振ったりしていたので、それらの行為に厄払いの効果があるのではないかと考えた。
 
写真16 阿太加夜神社の氏子らしい男衆写真17 福富の陸船先端
 
 陸船が阿太加夜神社に向かって進む。神社の境内にはすでにたくさんの人がおり、狭い空間に密集して暑苦しかった。多くの人が脚立を持っていたため、初日に感じた脚立の力は発揮されることはそうなかった。多くのカメラマンが脚立を使用し、後ろの人は見えにくい様子であった。山中鹿之介の隊、子どもたち、男衆の順に境内に入ってきた。陸船は船の舳先が入らないため、壊すという場面もあった(写真18)。境内に大海崎の船だけを入れて、大海崎の船のネームプレートをそのほかの地区のネームプレートを変えていく段取りになっていた。それにより、人だけが交代して奉納舞を奉納した。始まる前の船に人が群がり、踊り手がカメラマンの被写体になっていた。北海道から来たという人が剣櫂や采振りにポーズを要求していた。他の船は神社の外で待機していた。奉納舞が終わった地区は、ビールや酒を飲んでくつろいでいた。すべての地区の奉納舞が終わると熱心に神社に参拝する人もいた(写真19)。本殿の中の人は緊張感がないように感じ、和やかムードである(写真20)。
 
写真18 櫂伝馬船の舳先を壊す場面写真19 阿太加夜神社に参拝する人々写真20 阿太加夜神社拝殿内の様子
 
●中日祭のまとめ > 木村君体験記、還御祭へ続く
 
> 木村君体験記、渡御祭に戻る
> 体験記目次に戻る