法蔵館文庫、2023年。

■「幻想としての宗教」
 禁制キリシタンやかくれ念仏に言及。

■「遁世・漂泊者―本源的二重構造の問題―」
 水稲耕作の定住社会は自律していたのではなく、その存続に、非定住漂泊民の存在を必要としていたのでは。

■「宗教と社会―信仰の日本的特性―」
 堀一郎の説をひいて、「日本では神道がその原初形態をととのえたとき、すでそれは政治的価値の優越をみとめるような世俗的宗教 secular religion の性格をつよくもっていたと推定されている。したがって、日本では近世ヨーロッパのキリスト教社会でいわれる宗教の世俗化 secularization の過程は存在しない」(54-55)。
■「村を訪れる人と神―日本人の信仰―」
 いわゆる他所者の意味、村と外部との接触、村を訪れる者の性格、人神の信仰、遊幸神の成立、遊幸信仰の展開。

■「山と稲と家の三位一体―日本民族信仰の根幹―」
 
■「死生の忌みと念仏―専修念仏と民間信仰―」

■「地蔵菩薩と民俗信仰」

■「信仰の風土―天川弁才天―」
 静御前の長さ八尺の髪の毛を宝物としていたという、吉野天川坪内の弁財天。髪の毛の霊力、修験、弁財天の由来。

■「奈良仏教の展開」
 『日本仏教史』に寄せられた、かなりがっちりした時代史。

■「天皇と神の間―古代的政教分離をめぐって―」
 律令制とは、古い神権政治の拒否であった。「おなじ古代でも、神々と天皇の間は律令以前と以後で、大きく違っていたといわねばならない」(329)。

■「救世主としての教祖―行基の場合を中心に―」

■「民間仏教を開発した空也」

■「解説」(柴田實):ごく短い文章。

■「文庫版解説――「楽園」の光と影」(村上紀夫)
 高取正男の父親、才助が経営者として成功者であった点に注目。高取とマルクス主義との関係について記す。

[J0550/241227]