ちくまプリマー新書、2024年。かなりイスラーム寄り、「イラスームあげ」の内容だが、いまの日本にはイスラームに対してマイナスイメージをもっている人が多いことを考えると、こういう本もあっていいと思う。すくなくとも、世界でなぜイスラームが人気の宗教なのかはわかるはず。

第1章 イスラーム世界へようこそ!
第2章 つながる信仰と金もうけ
第3章 無利子銀行の挑戦
第4章 伝統と革新のイスラーム式助け合い
第5章 イスラーム経済の知恵から学ぶ

「『クルアーン』の第2章第275節には、「アッラーは金もうけをお許しになっている。」とあり、金もうけをすることが信仰行為として直接に肯定されています。言い換えれば、この世で金もうけをすることが、あの世で天国に行ける可能性を高めるのだとアッラーが言っているのです」(48)。もちろん、利子はだめ。

保険の禁止。「こうした保険が想定している不慮の事態は、おわかりのとおり人間が関与できない運不運によって起こります。そして、いつ誰にそうした事態が起こるかによって、人々が受け取るお金(保険金)の金額が変わってきてしまいます。そのため、イスラームでは保険に入ることが禁止されているのです」(62)。

無利子銀行拡大の立役者たち、エジプトのアフマド・ナッジャール、サウディアラビアのサーリフ・カーミル、マレーシアのマハティールなど。「2008年に世界金融危機が起こった後、世界中の人々が無利子銀行に注目するようになりました。それは、金融資本主義のマネーゲームの暴走を食い止めることのできるしくみが、そこにしっかりと組み込まれていることに気づいたからでした」(152)。

近代以前にさかのぼるムダーラバのしくみ。「時代を下るにつれて、ムダーラバに起源をもつ商売のやり方がヨーロッパを南から北に伝わっていき、イギリスで皆さんもよく知っている商売のしくみに発展していきました。それが、株式会社のしくみです」(166)。

[J0597/250801]