副題「「治す」とは異なるいくつかの試み」、医学書院、2024年。
序章 日本の精神医療の現状
第1章 支配から信頼へ──精神症状をその人の本質として捉える
第2章 薬より、お札やったんや!──専門職としてではなく、人として関係性をつくる
第3章 「治す」ではなく「暮らす」を目指して──精神疾患を病ではなく、その人の苦悩の一形態と捉える
第4章 意味のある支援──主体化を目指し、利用者に責任を返しながら伴走する
第5章 医療から社会生活へのシフトチェンジ──保護的な支援から、いつか到来する「自己実現」に向けた支援へ
第6章 精神医療の専門性をつくり変える
補章 ACTとは何か
医学モデルに則った精神医学とは別様のありかたをさぐる。博士論文がもとになった本との話、たしかに、学位論文らしい丁寧さのある一書。ひとつ、マジレスなコメントをしておくと、ここで示されている実践像を、ACTという括りに――もっともいえば、括りにのみ――結びつける必然性があるかどうか、という問題は残る。示されている実践像については、一定の理解が得られると想定される。
本書で紹介されている高木俊介氏の発想がおもしろかった。「薬が必要」というアプローチ法ではなく、「薬が自然」というアプローチ方を、というところ。薬を処方する/処方しない、の二分法とはまた異なる発想である点。その含意はもう少し深く考えて、言語化を試みる価値がある。
[J0575/250325]