講談社現代新書、1976年。
序章 田中正造の遺跡を訪ねて
第1章 政治家田中正造の形成過程
第2章 田中正造の議会の戦い
第3章 谷中村問題
第4章 田中正造の谷中の戦い
第5章 砕けたる天地の間に
戦いに身をなげうっていても、「谷中のことがまるで見えていなかった」田中正造が、しだいに谷中村の人たちの勇気に気づくというビルディングスロマンな筋書き。かなり著者の思い入れの強い評伝ということになるんだろう。
田中正造はキリスト者ではなかったようだが、キリスト教に共感をもっていたようだ。また、「田中正造は、決定的に「日本精神」を否定した。やまとだましいは専制国家の手でつくりあげられた偽道徳で、来るべき政治にとっては「大疵物で一文の値うちもない」」(220)と考えていたらしい。
[J0607/251007]