宮本常一著作集第11巻、未来社、1972年。
一 五島列島の産業と社会の歴史的展開
二 松浦文化・経済史
三 対馬豆酘の村落構造
四 岡山県御津郡加茂川町円城の祭祀組織:名の残存について
五 能登村落における中世的なもの
六 時国家の近世初期の経営
あれこれおもしろいのだが、御津郡加茂川町(現・吉備中央町)の記述から少しばかりメモ。昭和28年の調査から。
岡山県下に広くみられる、ミサキ神について。「これは不慮の死をとげたものか、または火の神をまつったものもある」(266)。これは種類があり、行きだおれをまつったシ二ミサキ、首をつった人のクビツリミサキ、火事のあった家が、次の火事があるまでまつる火の神のヤケミサキなど。
出雲講について。「出雲講は伊勢講についで、重要なものであり、ここへは杵築太夫が毎年出雲からやって来た。そして出雲からは信仰のあつい者に対しては苗字を与えた。こうして出雲からもらった苗字の家を杵築株と称した。・・・・・・講としてのやり方や代参をたてることは伊勢講とかわりないが、家を建てる時には必ず出雲のお札をまつらねばならなかった」(270)。
[J0570/250304]
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