1982年、邑智郡桜江町教育委員会。大元神楽に関しては、観光資源保護財団編・発行『大元神楽』(1977年)といった報告書もあり、新しい入門書として出雲古代歴史博物館が編集した展覧会の図録などもあるが、本書のほうがずっと記述が厚く、牛尾三千夫『神楽と神がかり』と並んで、第一の基本文献といえそうだ。・・・・・・なんて、詳しい方に教えていただいたんですけども。

序文 桜江町教育委員会教育長 原田静雄
はじめに 牛尾三千夫
大元神楽の性格とその変遷 山路興造
大元神楽式について 牛尾三千夫
舞方・囃子方 竹内幸夫
綱貫きについて 三浦賢斉・竹内幸夫
神がかりと託宣 牛尾三千夫
大元神楽現地公開見学記 岩田勝
資料

1981年3月に重要無形民俗文化財の指定をうけて行った小田八幡宮における大元神楽の公開催行の様子が記述されているが、参観者のなかには萩原龍夫、樋口昭、鈴木正崇、神田より子といった各氏の名前がみえる。公開催行だから生じないとおもっていた「託太夫」への神かがりの様子が凄い。

先日2024年11月16~17日には、故・牛尾三千夫氏の本拠である市山の飯尾山八幡宮で6年に1度の大元神楽が実施されている。式年で行われる各地の大元神楽はかなりコロナの影響を受けたといい、出雲地方でも33年に1度実施され、神がかりのある東忌部熊山の荒神神楽が、2021年に延期されている。だが、この市山の大元神楽はちょうどコロナの時期を避けられた格好となった。

自分だって外部の人間なので偉そうなことをいう権利はないが、でもやっぱり気になったのはスマホの動画撮影で、禁じられてはいないのだけど、神事の雰囲気を壊していることはたしか。ふつうの奉納神楽ではなく大元神楽なのだし。しつこく撮影しているのは、ほとんど、もしかしたらみんな、外部の人。いかにも都会の人だったりする。せめてスマホのディスプレイを消灯するようなことはできないものか。わざわざ江津にまで来ているくらいだから、たしかに「理解者」の側ではあるのだろうけど、こうして神事は壊れていくのだろうか。変質ですめばいいのだが。

[J0536/241120]