編集工房is、2014年出版。ほとんど語られることはないが、日本スポーツ黎明期に活躍した人物の評伝。松澤初穂は、市岡高等女学校時代に水泳自由形で日本記録、二階堂トクヨの日本女子体育専門学校に入学し、1932年(昭和7)のロサンゼルス・オリンピックに女子水上競技の主将として出場。1936年のベルリン・オリンピックでは、22歳にしてコーチとして参加している。

第一部 水泳とともに歩んだ96年
第二部 寄稿 菅谷初穂さんとの出会い
第三部 家族に刻まれた肖像

1937年に結婚後は、姑の方針もあって水泳からは離れてしまう。ここからの生活苦の話もそれはそれで。凄いのは、姑をきちんと看取ったあとの1984年、70歳の時からふたたび泳ぎはじめ、86歳まで泳いで、マスターズでは3度も世界新記録を樹立していること。50年ブランクがあってのことだから、やはり天才だったんだね。

自費出版の本のようだが、たいへんしっかりした内容で、貴重で鮮明な写真が豊富。資料としての価値も高い。

[J0514/240923]