副題「飛鳥・白鳳・天平の祈りと美」、中公新書、2009年。
序章 仏像を造るとはどういうことか
第1章 聖徳太子のために造られた仏像
第2章 生身という思想
第3章 釈迦に出会う
第4章 仏はどこにいるか
第5章 天の働き
第6章 国土を法界にする
第7章 救済のかたちと場所
終章 重ねられる祈り
古代の仏像を細部にわたって考証し、当時の人びとの心象世界にまで迫る。本書を読んで、古代の仏教世界が中世以降のそれといかにちがっているか、また自分がどれだけ「仏教」にかんする現在のイメージで古代のそれを判断してしまっているかに気づかされた。「古代の人々の前には、仏教と神仙思想は一体となってあった」(110)という言い方も、なるほどそういえばと。
ついつい現存する仏像や寺院でものを考えてしまうが、失われたものも多い、なんなら失われたものの方が多いということについても、あらためての気づき。天平時代に天智天皇がつくった大安寺釈迦如来像がとても尊重されていて、生身の釈迦に比されていたというような話など。四天王の役割の時代的変遷の話も興味ぶかかった。
図版として紹介されていた大阪・長円寺の十一面観音像が印象に残った。いつかみてみたいな。
[J0610/251031]
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