Author: Ryosuke

小山慶太『35の名著でたどる科学史』

副題「科学者はいかに世界を綴ったか」、丸善出版、2019年。
さらさら読めて勉強になる。たったこの数百年や100年で、こんなに進歩してきたのだと。一言で科学というが、領域は広大だと。知ってはいるけど、改めて感じる楽しさ。どうでもいいけど、フォントの感じも好き。

1章 宇宙と光と革命の始まり(16〜17世紀)
バターフィールド『近代科学の誕生』1949年
コペルニクス『天球の回転について』1543年
ケプラー『宇宙の神秘』1596年
ガリレオ『星界の報告』1610年
ガリレオ『天文対話』1632年/ガリレオ『新科学対話』1638年  
デカルト『哲学原理』1644年
ホイヘンス『光についての論考』1690年
ニュートン『プリンキピア』1687年
〔コラム〕フック『ミクログラフィア』1665年

2章 プリズムと電気と技術の発展(18世紀)
ニュートン『光学』1740年
ヴォルテール『哲学書簡』1734年
ラ・メトリ『人間機械論』1747年
フランクリン『フランクリン自伝』1818年
ラヴォアジエ『化学原論』1789年
ランフォード「摩擦によって引き起こされる熱の源に関する研究」1798年
〔コラム〕ニュートンのリンゴ

3章 神と悪魔とエネルギー(19世紀)
ラプラス『確率の哲学的試論』1814年/デュ・ボア・レーモン「自然認識の限界について」1872年
カルノー『火の動力についての考察』1824年
ダーウィン『ビーグル号航海記』1839年/ダーウィン『種の起源』1859年  
ファラデー『力と物質』1860年/ファラデー『ロウソクの科学』1861年  
マクスウェル「エーテル」1875年
〔コラム〕もう一人の悪魔

4章 ミクロと時空と宇宙論(20世紀前半)
セグレ『X線からクォークまで』1980年
アインシュタイン「運動物体の電気力学について」1905年
ペラン『原子』1913年
ハッブル『銀河の世界』1936年
ケストラー『サンバガエルの謎』1971年
〔コラム〕朝永振一郎「光子の裁判」1949年

5章 遺伝子と古生物学と人類の進化(20世紀後半)
ワトソン『二重らせん』1968年/セイヤー『ロザリンド・フランクリンとDNA』1975年
パウエル『白亜紀に夜が来る』1998年 
スペンサー『ピルト=ダウン』1990年/ジョハンソン、エディ『ルーシー』1981年
グールド『ワンダフル・ライフ』1989年/グールド『フルハウス 生命の全容』1996年  
〔コラム〕ネアンデルタール人と現生人類

[J0675/260704]

アガンベン『例外状態』

ジョルジョ・アガンベン、上村忠男・中村勝巳訳、未来社、2007年、原著2003年。

第1章 統治のパラダイムとしての例外状態
第2章 法律‐の‐力
第3章 ユースティティウム
第4章 空白をめぐる巨人族の戦い
第5章 祝祭・服喪・アノミー
第6章 権威と権限
訳者解説 例外状態をめぐって──シュミット、ベンヤミン、アガンベン(上村忠男)

『ホモ・サケル』、『アウシュビッツの残りのもの』、『王国と栄光』という一連の著作の一環らしいし、こんなふうに眺めただけでは読んだとは言えない。
カール・シュミットの議論が現在のものとして論じられる所以がすこし分かる。例外状態を考えるうえで、しばしば服喪とも解釈されてきた、ユースティティウムというローマの概念が大事だと。それから、必要の概念。「必要は法律をもたない」。

[J0674/260629]

立川健二・山田広昭『現代言語論』

副題「ソシュール フロイト ヴィトゲンシュタイン」、新曜社、シリーズワードマップ、1990年。なんだかんだ、概説としては有益だと思う。現代言語学の三つの視点を、言語使用論的視点(ヴィトゲンシュタイン)、記号論的視点(ソシュール)、精神分析的視点(フロイト)と整理し、小項目を立てて解説。

現代言語論の三つの視点
Ⅰ システム・構造としての言語
 記号/ソシュール/共時態と通時態/サピア/意味/バルト/グー/戯れ/ブレンダル/イェルムスレウ/固有名詞
Ⅱ 無意識としての言語
 フロイトと言語/無意識/アナグラム/クリステヴァ/セミオティックとサンボリック/精神分析と言語使用論
Ⅲ 行為・コミュニケーションとしての言語
 ウィトゲンシュタイン/交通/オースティン/対話/ヴァレリー/バンヴェニスト/デリダ サール論争/手紙/約束/誘惑
現代言語論のためのブック・ガイド

文章のそこここに、当時のニューアカ的・衒学的な雰囲気が濃厚に漂っている。なんていうのか、今からみれば、ロマンティックとでもいうべき自己陶酔の感じ? 引用されている漫画が、内田春菊と相原コージという、この感じ。あと、終盤の著者(立川氏)自身による誘惑論の部分が宙に浮いている。この二点をのぞけば、解説自体はちゃんと端正でリーダブル。人の説明も、当時っぽい人選かもしれないが、ありがたい。

ウィトゲンシュタインの引用(160)。
「きみは、言語ゲームがいわば予見不可能なものであることを心にとめておかねばならない。つまりそれには根拠が無い。それは理性的ではない。それはそこにある――われわれの生活と同様に」(『確実性の問題』559節)。

バフチンの、記号論および構造主義がよってたつモノローグ主義に対する批判。
「「構造主義には、一つの主体――研究者当人――しか存在しない」。しかし、意味はつねに人称的なのであり、問いかけや呼びかけ、そして予想される応答を前提としてのみ考えることができる」(181)。

[J0673/260629]