船木裕訳、集英社、1994年。

天の川縁起
 天の川縁起
 鏡の乙女
 妖怪の歌
 日本からの手紙
 伊藤則資の物語
 究極の問題
虫の研究・蚊
日本お伽話
 ちんちん小袴
 団子を失くしたばあさん
 化け蜘蛛
 猫を描いた少年
 若さの泉.
『天の川縁起』序文(フェリス・グリーンズレット)
思ひ出の記(小泉節子)
解説(船木裕)

ハーン死後、1905年に出版された遺稿集、The Romance of the Milky Way and other studies and stories に収録された文章を中心に編まれた一冊。ただし、The Romance of the Milky Way… の中でも、「事実は小説よりも奇なり」一篇と、「妖怪の歌」のうち「狐火」は収録されていないらしい。せっかくなら全部入れてほしかった。5篇収められた「日本お伽話」はもともと縮緬本で、そのあと、Karma and Other Stories and Essays (1921) に収録されたものとのこと。

雑多といえば雑多な内容だが、ハーンの作品をひととおり読んできた目で読むと、いかにも彼らしい。日本の伝説を、ギリシャや中国の伝説を引きあいにだしながら愛でる「天の川縁起」、狂歌を集めて解説を加えた「妖怪の歌」、日露戦争下の、ふしぎに穏やかな庶民生活を描いた「日本からの手紙」。「伊藤則資の物語」は再話物語だが、前世に端を発する恋というハーンがずっと惹かれてきたモチーフで、ハーバート・スペンサーにおける死後生存という主題を熱心に論じた「究極の問題」の考察とも通じている。

Internet Archive から原著リンク。

The Romance of the Milky Way and other studies and stories (1905)

Chin Chin Kobakama (1903)

また、白百合大学女子大学「ちりめん本コレクション」

[J0245/220302]