J.T.エイトケン、H.W.C.フラー、ダグラス・ジョンソン著、榊田博訳、すぐ書房、2002年。原著 The Influence of Christian in Medicine は、1984年。

目次
キリスト教と医学―そのおのずからなる連携
病院の開設と基金の調達
過去の努力と実績の継承
新しい学問の効果
近代科学の勃興
十八世紀の著名な開業医
感染の知識、疼痛の緩和、外科手術の安全性向上
予防医学の先駆者たち
医学教育と医学生
医の倫理の確立にむけて
近代看護の発達
多面的な医療のケア

19世紀の看護や医療的ケアの発展に、宗教組織がどのように関わっていたかを描いたシオバン・ネルソン『黙して、励め』(原田裕子訳、日本看護協会出版会、2004年)のことをかねてから良い研究だなと思っていて、その流れを思い出しながら、ふと本書を手にとる。本書の方は「キリスト教の輝かしい活躍の歴史」というニュアンスが濃いことは否めないが、時代においても対象においても広い範囲を扱っていて、この主題に見通しを与えてくれる。

たとえば、キリスト教徒による病院建設を、次の5つの時代区分から説明している。
(1)草創期:313-476
(2)暗黒時代における修道院型病院:476-1000
(3)中世期における病院(1000-1500)
(4)近世(1500-1800)
(5)19・20世紀(1800-現代)

意識して探してみたわけではないけれど、ありそうで案外とない、貴重な情報源ではないのかな。

[J0269/220526]