講談社現代新書、2017年。

序  火あぶりにされたサンタクロース
1章 なぜ12月25日になったのか
2章 戦国日本のまじめなクリスマス
3章 隠れた人と流された人の江戸クリスマス
4章 明治新政府はキリスト教を許さない
5章  「他者の物珍しい祭り」だった明治前期
6章 クリスマス馬鹿騒ぎは1906年から始まった
7章 どんどん華やかになってゆく大正年間
8章 クリスマスイブを踊り抜く昭和初期
9章 戦時下の日本人はクリスマスをどう過ごしたか
10章 敗戦国日本は、狂瀾する
11章 戦前の騒ぎを語らぬふしぎ
12章 高度成長期の男たちは、家に帰っていった
13章 1970年代、鎮まる男、跳ねる女
14章 恋する男は「ロマンチック」を強いられる
15章 ロマンチック戦線から離脱する若者たち
終章 日本とキリスト教はそれぞれを侵さない

うーん、ブログ記事に書くか迷ったが、いちおう、自分向けのメモとして(つねにだけど)。

堀井さんといえば、「ホリイのずんずん調査」はじめ、調べ物をしながらおもしろいコラムを書く人。この本でもその手腕が活かされて、日本のクリスマス受容史をたくさんの興味深いエピソードとともに描き出す。そこはおもしろいのだけど、この本はちょっと、あいだあいだに挟んでくる「思想が強い」んじゃないですかね。もちろん、個人の見解が強いこと自体はまったく問題がないのだけど、クリスマス受容史の記述と「日本人はキリスト教を受容しないし、するべきでない」という彼の主張がうまく噛み合っているようにみえないというのが一点。もう一点は、そのように「日本人はキリスト教を受容しないし、するべきでない」と主張しつつ、「これまでクリスマス受容史は直視されてこなかった」「これまでクリスマス批判が無自覚に繰り返されてきた」といったまた別種の見解がごちゃっと挟まれていて、全体としてこの本自体に説教臭を感じてしまう。コラムニストとしてはとても好きな方なんですけどね。

[J0323/230103]