副題「ナチズムとキリスト教」、いのちのことば社、2015年。

序 ドイツ政治史の中のプロテスタント教会
1 第一次世界大戦と教会
 (1)戦争熱に浮かされて
 (2)冷静な信仰者たち
2 ヴァイマル共和国と教会指導層
 (1)ヴァイマル共和国の政治状況
 (2)福音主義教会指導層の政治類型
3 ナチス政権の成立と教会闘争の始まり
 (1)ヒトラーとナチ党綱領
 (2)ドイツ的キリスト者の台頭
 (3)ドイツ福音主義教会憲法と帝国教会監督
 (4)青年宗教改革運動・牧師緊急同盟・告白教会
 (5)バルメン宣言
 (6)告白教会のヒトラーあて建白書
 (7)キリスト教会への弾圧
4 第二次世界大戦とドイツの教会
 (1)ドイツ・プロテスタンティズムの戦争観
 (2)ズデーテン(チェコ)危機と平和祈祷礼拝
 (3)開戦と教会の反応
 (4)戦時下の説教――福音信仰固着型の優位
 (5)戦時下の宣教――〈二王国論〉と〈キリストの王権的支配〉
5 戦時下の宗教弾圧と抵抗
 (1)ナチズムのキリスト教観
 (2)兵役問題――徴兵と志願
 (3)兵役拒否と兵役忌避
 (4)反ナチ抵抗運動と教会
 (5)ユダヤ人救援活動――グリューバー事務所
 (6)ナチス〈安楽死作戦〉への抵抗
 (7)古プロイセン合同告白教会の抗議表明
6 シュトゥットガルト罪責宣言
 (1)罪責宣言の契機
 (2)罪責宣言の成立
 (3)罪責宣言の意義

ナチズムに関する、ドイツ・プロテスタントの教会や神学者たちの姿勢や対応を描き出す。ナチズムへの抵抗や反省が中心にはなっているが、協力や従順の様子にも触れている。

100ページを少しこえるくらいの小冊子であるが、著者の河島幸夫氏がこの主題について上梓している『政治と信仰のあいだで』(2005年)、『ナチスと教会』(2006年)、『ドイツ現代史とキリスト教』(2011年)といった著作のダイジェストとして、内容は濃い。

[J0334/230206]