副題「中国共産党支配の70年」、中公新書、2022年。

序章 新疆あるいは東トルキスタンの二千年
第1章 中国共産党による統治の始まり 1949-1955年
第2章 中ソ対立の最前線として 1956-1977年
第3章 「改革開放」の光と影 1978-1995年
第4章 抑圧と開発の同時進行 1996-2011年
第5章 反テロ人民戦争へ 2012-2016年
第6章 大規模収容の衝撃 2016ー2021年
終章 新疆政策はジェノサイドなのか

新疆ウイグル地区における共産党による支配や弾圧の歴史および現状を描く。こういった政治上なまなましい問題を論じるのは、正確な情報を入手する困難もあれば、現実的な危険がないとも言えないし、たんへんな仕事だと思う。

新疆ウイグル地区にはムスリムがいて、とくに共産党による産児制限や不妊手術の強制がひとつの争点となってきたという。

欧米側は、再教育収容所への強制収容をはじめ、新疆ウイグル地区の人々に対する抑圧を「ジェノサイト」と見なして強く批判してきていることは、日本ではユニクロの不買運動があったことでも知られている。これらが人権侵害であることは明らかであるが、本書筆者は、「ジェノサイト」という表現が適切かどうかという問題提起を行い、むしろ「民族の改造」という表現の方が適切であると言う。筆者はそう表現してはいないが、つまりは強制的な民族同化ということだろうか。

[J0335/230207]