講談社ブルーバックス、2012年。

第1章 情報科学の歴史
第2章 情報とはなにか
第3章 情報の価値?
第4章 通信量を減らす?:情報源符号化定理
第5章 伝言ゲームでは困る──誤りを減らす
第6章 情報科学の歴史の中の情報理論

ノイマンなどと比べると、伝記や解説の少ないクロード・シャノンの情報理論を紹介、ブルーバックスらしいありがたい仕事。著者も書いているけど、シャノンは2001年没で、最近の人なのだよね。

よく教科書などには、シャノンの「通信モデル」の図が出てくるけど、あれだけみても「だから何?」という感想しか浮かばない。シャノンのしたことと言えば、別にあの図を発明したというようなことではなく、通信の数量化および数学的主題化ということなわけだね(シャノンが本当に最初で唯一の人か問題は措く)。

もう少し詳しく言えば、まずは情報を数量化・ディジタル化する基本的な手法や、その価値を数量化する指標(情報エントロピー)を設定。同時に、それを送信するための情報圧縮・復元(符号化)の手法と枠組みを、ノイズの除去の方法を含めて確立したと。荷物のパッキングならぬ、情報のパッキング。

本書で説明されている情報理論の基本ワードを列挙しておく。
ビット/情報エントロピー/標本化・量子化・符号化/標本化定理/情報源符号化定理/相互情報量/通信路符号化定理

ふだんからよく触る人はいいんだろうけど、エントロピーとか量子とか、他の分野で別の意味に用いられる言葉が入っているのは混乱しそう。

[J0347/230327]