現代日本のそれとはまったく異なる経済活動について知るのは本当、おもしろい。それは、現在のわれわれを見えるところ・見えないところで縛っているものが経済システムだからだろう。それにしたところでこの本、タンザニアの零細商人をめぐるフィールドワークをもとにした、小川さやか『「その日暮らし」の人類学』(光文社新書、2016年)はすばらしい本だ。質の高いエスノグラフィーは、対象社会における生活を身近に感じさせるだけでなく、現代日本という、われわれが生きる社会のあり方を反省させる=照らしだす。

インフォーマルな経済活動からみた、中国とアフリカの関係に関する記述もおもしろい。それと、小川さんが引用している文献がどれもおもしろそうなのは、紹介のしかたのせいでもあるのだろうか。勉強になる。

[J0008/170522]