沖浦和光『旅芸人のいた風景』(河出文庫、2016年)を読む。原著は2007年。沖浦の旅芸人論・漂泊民論の総まとめといった感じ。これはこれでいいが、『日本民衆文化の原郷』(文春文庫、2006年、原著1984年)の方が実際のインタビューを交えながら、門付け芸や人形芝居、鵜飼などの技芸に迫っていて貴重。

人形芝居関連でちょっと異色なものに、宇野千代による阿波の人形師の聞き書きがあって、ダイアローグ調の文体なのが土佐源氏を思い出さないでもない(『宇野千代聞書集』平凡社ライブラリー、2002年)。そういえば、瞽女については最近、ジェラルド・グローマーがしっかりとした凄い研究をしている(『瞽女うた』岩波新書、2014年)。

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