栗原潔訳、翔泳社、2009年、原著も2009年。ひとむかし前に売れた本を、いま読んでみた。

調査に基づくというが、とにかくデジタル世代を擁護して、上の世代や親、上司、政治家などにアドバイス。最後はデジタルネイティブ世代にも「良い感じの説教」をして締める。ネット世代への懐疑や「恐怖」へのカウンターとして、あれこれ考えなおすきっかけにはなるかな。いかにも売れそうな本で、一級の研究や批評とは言いにくい。本を読まなくなったネット世代にも読んでもらおうと思えばちょうどいいという戦略・・・・・・?

第1部 ネット世代登場
 1. 成人になったネット世代
 2. ビット漬けの世代
 3. 世代の特性:ネット世代の八つの行動基準
 4. ネット世代の頭脳)
第2部 既成制度を変革する
 5. 教育を再考する-ネット世代における教育
 6. 人材管理を再考する―職場におけるネット世代
 7. Nフルエンスネットワークとプロシューマー革命―消費者としてのネット世代
 8. 新しい家に勝る場所はない―ネット世代と家族
第3部 社会を変革する
 9. オバマ、ソーシャルネットワーク、市民参加―ネット世代と民主主義
 10. 世界を根本的に良い場所に
 11. 未来を守る

本書の定義するネット世代は、1977年から1997年生まれから。1998年よりあとの生まれは、ジェネレーションZとして区別されている。アメリカが対象だから、日本で同じことをしようとすれば、もう少し後ろにずれるはずだろう。ネット世代の8つの行動基準というのが挙げられていて、それが本書の基本線に置かれている。
1 自由を好む
2 カスタマイズ、パーソナライズを好む
3 情報調査に長けている
4 商品購入や就職において企業の誠実性とオープン性を求める
5 職場・学校・社会生活で娯楽を求める
6 コラボレーションとリレーションの世代である
7 スピードを求める
8 イノベーターである
 この基準がもし調査の結果なら、日本ならどうなるか気になるな。調査や比較研究があるのだろうか。

ベビーブーム世代の若者は自由を家の外に見つけ、ネット世代は家の中に見つける、のだそうだ。もちろんネットの存在というポジティブな要因の他に、ネット世代には家の外の自由がなくなったという。管理の問題と、見ず知らずの人への怖れという心理があると。家族関係も変化して「ホバリングするヘリコプターペアレント」なんて、日本で言うモンペ的な親の関与の話題。

たしかに、ネットの社会的効果は気になる話題ではあるので、また関連書などチェックしていきたい。

[J0103/201115]