講談社現代新書、2020年。

序 民主主義の危機
第1章 民主主義の「誕生」
第2章 ヨーロッパへの「継承」
第3章 自由主義との「結合」
第4章 民主主義の「実現」
第5章 日本の民主主義
結び 民主主義の未来

古代ギリシャから現代日本にいたる、民主主義の思想史。最初から民主主義を正しい理想と置く見方からは距離を取りつつ、その意義を明らかにすることを狙う。

立法権を強調するか、執行権を強調するかをひとつの分析軸に置いているところなど、政治思想史では標準的なのかもしれないけど、個人的にはなるほど感あり。たしかに、ルソー(やカルヴァン)は、立法権にほとんど神聖性に近い重要性を与えていた印象がある。

筆者には単著もあるトクヴィル論。なるほど、トクヴィルの「デモクラシー」観念は、あくまでトクヴィル独自の意味合いがあるわけだ。

ロールズはむしろ、不平等の存在を認めているとか、正義感覚なるものを重視していたとか、これらも言われてみるとそうだなあと。

本書には直接関係ないけど、宇野さんと言えば、日本学術会議会員任命問題。なんでわざわざ、かくもまっとうな宇野さんをなのか。学術会議を潰したり圧力かけたいと言うなら、もっといい人選がいくらでもあったろうに、とついつい思ってしまう。本当、なにも分かってないんだな、政府側の人たちは・・・・・・。

[J0152/210501]