PHP新書、2020年。

序章 人を幸せにする心をもった存在
第1章 現在のAIはどこまでできるのか?
第2章 ドラえもんはこうしてつくる
第3章 ミニドラのようなロボットを、みんなで育てる
第4章 仲間とつくるドラえもん
第5章 HAIのテクノロジーが日本から世界へ

AIの可能性にも興味があるし、『バッタを倒しにアフリカへ』的なものかなとおもって、割と楽しみに読みはじめたが、途中から違和感。世界がちがっているね。

弱々しくすることで人が助けてあげたくするとか、幼い外見にすることで親しみやすくするとか、「そっち?」という感想。「ドラえもんを本気でつくる」というけど、ドラえもんって本当にそうやってできたロボットなんだろうか。人間の側を誘導するというコンセプトがいかにも認知科学って感じ。著者本人はきっといい人なんだろうけども。

異論を言うと、「ドラえもんを作れないと思い込んでいる人」として片づけられそう。そもそも、ドラえもんって、何だっけって話。藤子F先生ならなんて言うだろうか。

ただ、現実問題として、現在実現しているロボットの主要な用途のひとつが、愛玩だというのはちょっとおもしろい事実。人間の社会性が向ける対象として、テクノロジー的に「完成」している必要はない。ぬいぐるみだって精巧でさえあればいいわけじゃない。それとは別に感じられる魅力があるわけで、それはどこまで一般化できるだろうか。

[J0154/210502]