増補新版、河出ブックス、2015年。

第1章 アイデンティティへの問い
第2章 それは消費から始まった
第3章 消費と労働との間で
第4章 「コミュニケーション不全症候群」の時代
第5章 コミュニケーションの過少と過剰
第6章 多元化する自己
第7章 多元的自己として生きること
補章 拡大する自己の多元化―世代・時代・年齢

1980年代からの若者の変容を辿る。職業社会学者らしく、安易な若者論や若者叩き自体も相対化しながら、先行する議論のレビューとしても使える。ひとつ参考になったのは、2000年代後半以降における地元志向が、友達志向と結びついたものであるという指摘。

この本が出たのは2015年だが、またここ数年で若者の様子がぐっと変わったような感触がある。その感触とともに、気になっているのは少年刑法犯検挙数の動向だ。1983年の26万をピークに、2010年は10万、2015年は4.8万と急減し、2020年はなんと2万に。新型コロナの影響も大きいとはいえ、すさまじいまでの急減傾向はそれ以前からの動向でもある。これは少年人口自体の減少を計算に入れても凄い「落ち込み」である。犯罪が増えたときにはわーわー議論が増えるが、この数字はしっかり検討するに値するとおもうのだ。

[J0155/210514]