講談社現代新書、2024年。帯に「「老い」のニッポン精神史」とある。
第1章 老いの名作は老いない
迷惑をかけたくない―『楢山節考』
いつか、自分も―『恍惚の人』
マンガが見つめる孤独―『いじわるばあさん』
古典の老いと理想―『竹取物語』『枕草子』『徒然草』『方丈記』
第2章 老いをどう生きるか
百歳の人間宣言
定年クライシス
六十代―老人会のフレッシュマン
「乙女老女」は未来志向
第3章 老いのライフスタイル
一人暮らし
おしゃれの伝承
おばあさんと料理
田舎への移住
第4章 老いの重大問題
金は足りるのか
配偶者に先立たれる
「死」との向き合い方
老人と性
著者は「負け犬」の言葉を流行らせた人で、高校時代に、泉麻人の手引きで『オリーブ』にエッセイを寄稿したのだとか。
『楢山節考』や『恍惚の人』のように、いわば「老い」本の古典はとうぜん出てくるとして、「自分で買ったことはないけど、たしかにむかし、よく書店に並んでいたなあ」という作家の名前をひさびさに目にして、妙な懐かしさを感じる。田辺聖子、草笛光子、沢村貞子、玉村豊男、丸山健二、城山三郎、佐藤愛子等々・・・・・・。書店文化が変わってしまった今、読書傾向にない「名前だけ聞いたことのある作家」との接点もなくなってしまった。
[J0562/250215]