副題「解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち」、ちくま文庫、2024年、底本は2019年。ちくま学芸文庫ではなくてね、なるほど。
第1章 暴走族少年らとの出会い
第2章 地元の建設会社
第3章 性風俗店を経営する
第4章 地元を見切る
第5章 アジトの仲間、そして家族
補論 パシリとしての生きざまに学ぶ―その後の『ヤンキーと地元』
解説 打越正行という希望(岸政彦)
著者の論文類を読んだことがないので、この本だけの感想を。
魅力ある著者による、魅力ある人たちを描いた、凄いエスノグラフィーとして賛辞を寄せることはもちろんできるが、それで済ましていいのだろうかとも思う。『ハマータウンの野郎ども』と比べる向きともあるが、あちらがかなり高度で周到な理論的考察とセットになっているのに対し、この本はひたすら記述に徹していて、およそ理論的考察のようなものはない。おそらくは意識的に避けている。
調査という営みは相当不自然なことだと思うが、著者が調査にかける情熱がどこからくるのか、謎に思われてくる。その情熱の強さや対象に対する「誠意」がひしひしと伝わってくるだけになおさらだ。大学教員は、学生にこんな、ものになるかどうかわからない調査を勧めることはできないだろう。自分で決意して自分で取り組む人にしか、こんな調査はできない。
岸さんの解説も、この本に関してはいまいちだ。「沖縄の語り方を変えた」というが、従来の沖縄イメージの是正ないし多元化のようなことが、ことの本質だとは思えない。むしろ、ごろっと手応えのある謎ないし問いかけを、読者の眼前にただ黙って置いていくような書と思える。
[J0552/250123]