ちくま新書、2021年。

序章 日本と韓国のキリスト教文化
第1章 シャーマニズムの中で生まれ
第2章 シャーマニズムの研究へ
第3章 キリスト教との出会い
第4章 儒教とキリスト教の葛藤
第5章 シャーマニズムとキリスト教の調和
終章 シャーマニズムからキリスト教へ

 読めばK-POPも韓国ドラマももっと面白くなる、という帯の文句は本当かいな、ということはさておき。韓国のキリスト教を扱った新書には、浅見雅一・安廷苑『韓国とキリスト教』(中公新書、2012年)があるが、それとはまったくテイストがちがう。本書はむしろ、シャーマニズムが主で、韓国のキリスト教も基盤にシャーマニズムがあるという理解。また本書は、シャーマニズムを信仰する親を持った韓国生まれの人類学者が、まだ経済成長前の韓国をフィールドに苦労をして調査を進めていった体験記でもある。

 基本的知識なんだろうけど、韓国では巫者は世襲で、ときに差別を受けた職能集団を形成してきたと。それが近年では、固有文化として文化財としての扱いも受けるようになってきているとの話。シャーマニズムないし民俗宗教とキリスト教の習合ということでは、池上良正『悪霊と精霊の舞台』(どうぶつ社、1991年)が想起される。

[J0209/211026]