幻冬舎文庫、2020年、原著原題は『ひきこもらない』で、2017年刊。

1 移動時間が好きだ
2 チェーン店があれば生きていける
3 できるだけ多くの場所に住みたい

昔はよくエッセイを読んだけど、最近はぜんぜんで、でもこの本はひさびさにしっくりきた。たぶんだけども、エッセイと言えども文章ごとにバラバラでは読めないんで、あるテーマなり思想なり、あるいは文体なりがベースにないとだめなんだろう。筆者曰く、この本のテーマは「何もなさそうな場所でも面白いことはいくらでも見つけられる」ということと、「同じ場所にいるとすぐに飽きてくるから新しい場所に移動しつづけたい」とのこと。サウナだ高速バスだと、僕の趣味とはちがうんだけど、なにかその気分に共感。

少し調べてみたら、phaさんはニートということで有名な方のよう。この種の人の発言にもいろいろあるけど、phaさんが読みやすいのは、社会生活にうまくフィットできないと言いつつも、ふつう一般の生活をディスったり攻撃したりする要素がないところ。自己啓発風にならないのも、そのへんのバランスから来るもので、それがエッセイという形式によく合っている。

[J0208/211024]