夏葉社、2020年。

  • 武田砂鉄「ブックオフのおかげ」
  • 山下賢二「その時、人は無防備で集中する」
  • 小国貴司「ブックオフは「暴力」だ。」
  • Z 「ブックオフとせどらーはいかにして共倒れしたか」
  • 佐藤晋「私の新古書店」
  • 馬場幸治「ブックオフに行き過ぎた男はこれからもブックオフに行く、そして二十年後も」
  • 島田潤一郎「拝啓ブックオフさま」
  • 大石トロンボ「よりぬき新古書店ファイター真吾」

ブックオフに青春を費やしたことでは人後に落ちない身には、おもしろすぎた。われわれ世代もいよいよ、回顧の本があれこれ出てくる頃合いだが、少年ジャンプやコロコロ的なものは、やっぱり小中学生の頃の話だし、最近目立ってきた「渋谷系」の話題みたいなものは実のところ正体があいまいで、しかもちょっとハイソな要素もあるから、地方に対する東京視線だったりと、妙にマウント取りみたいな状況になったりする。そう、だからブックオフなんだよ。「ブックオフの黄金期とロストジェネレーションたちの長いモラトリアム期はぴたりと重なる。」(島田潤一郎、p.168)

「ブックオフあるある」として、島田潤一郎氏が聞き手をつとめた大石トロンボ氏の章が抜群。「そこはやっぱりブックオフやから、古書的価値のいいものではなくて、自分的価値のいいものということになりますけど」つって。CDの、「その他」の棚の話とか。

ユーザー目線の章とせどらー目線の章があって、やっぱり前者の方が面白いんだけど、Z氏くらい、せどりの手法とブックオフの値付けシステムの動向をきちんと書いていると、これはもう歴史だ。社会史、平成史。

ぜひこの本は『レコスケくん』と並べて読みたい。『レコスケくん』よりも世代や層を絞った感じ。まあ、本書でもあちこちに顔を出しているように、ブックオフの世界でも、東京と地方とではコンテンツ格差はあるんだけどね、悲しいことに。

[J0223/220110]