報光社、松江文庫、2021年。

第一章 庶民信仰のある風景
 1 湖水がひろがる出雲:中近世の旅日記から
 2 ある道しるべと水難供養塔
 3 宍道湖をめぐる二つの水難供養塔:近世庶民信仰の動向と水運との関連で
 4 続・宍道湖をめぐる二つの水難供養塔:ふたたび文化11年の遭難事故から
第二章 六十六部のいた風景
 1 六十六部廻国という巡礼
 2 島根における近世六十六部廻国:出雲三十三札所巡りも絡めて
 3 出雲市にある近世六十六部施宿供養塔:同塔建立の全国的な傾向も絡めて
 4 出雲・石見・隠岐における近世六十六部廻国の様相
第三章 弁慶伝説のある風景
 1 出雲地方の弁慶伝説(1)
 2 出雲地方の弁慶伝説(2)
 3 史料からみた出雲地方の弁慶伝説(1)史料の時系列化
 4 史料からみた出雲地方の弁慶伝説(2)近世初期の史料を幸若舞曲との関連で考える
第四章 社寺建築のある風景
 1 出雲地方の居並ぶ神社建築:近世社寺建築の面白さ
 2 二つの小さな近世社寺建築:組物を凝らし彫刻で飾る
 3 出雲大社のいま一つの本殿設計図:寛文度造営時にみる二つの方向性
 4 古建築文化財への関心と変わらぬ思い
第五章 大般若経のある風景
 1 経典類から知られる島根の歴史・文化
 2 島根県下の二つの紺紙装飾経:歴博本神護寺経と右田家本妙法蓮華経
 3 鰐淵寺の紺紙銀字華厳経:文禄の役に伴う渡来品
 4 高野寺と中世大般若経

リアルな書店にいくとついつい買ってしまうのは郷土本。アマゾンだとなかなか目に入らないし、そもそも売っていないものも多い。とくに島根は、その歴史や文化の深さに応じて、レベルの高い郷土史が多い。著者は、県立古代出雲歴史博物館で学芸員もされていた方で、本書でも多くの史料を渉猟。

[J0249/220310]