副題「死にゆく人々の本音」、光文社新書、2022年。

【内容】
1 高校2年で死を受け入れた人の声―ワイルズの闘病記
2 京大院生が残した剥き出しの思考―ヨシナシゴトの捌け口
3 安寧を探し求めた先の諦観、そして自殺―気味が悪い、君
4 大量の吐血の後に吐き出した覚悟のブログ―日本一長い遺書
――対談1 故人のサイトに流れる時間と真贋
5 4代にわたって引き継がれている個人のサイト―轟木敏秀のホームページ
6 死を覚悟した空手家ベーシストの軌跡―中鉢優香バッチ/Instagram
7 41歳で余命を知った医師が残した死への記録―肺癌医師のホームページ
8 オンラインに生きた人間が刻んだ極限の生き様―一撃確殺SS日記
――対談2 時代の変化と、故人のサイトを扱う罪悪感
9 2012年9月に凝縮された人生―自殺願望者の記録
10 〝肺がんオヤジ〟が残した終わらないブログ―がんと共に生きる!ブログ
11 糖尿病の怖さを伝える20年前の個人サイト―落下星の部屋
12 永久保存を望むサイトは3年で消えた―クール!だね、ジャパン
――対談3 残されたサイトは誰のものなのか?
13 1万冊の闘病記を集めた男の人生―パラメディカ
14 90歳ブロガーが残した孤独と自由と長寿観―さっちゃんのお気楽ブログ
15 娘を殺された父がブログを綴る理由―SA・TO・MI~娘への想い~
――対談4 故人の名誉を守る行為、故人のサイトを扱う暴力性

死に直面した人たちのブログやSNSを取りあげた本、すごい企画。死後のデータの扱いについて研究している折田明子さんとの対談が挟まれていて、これも効果的。

本当に多様な死のかたちがあるのだなという感想の傍ら、それぞれがブログという、独特のかたちで「内面的」なメディアで自分の死生観を吐露しているだけに、やはり自分自身の死生について考えさせられる。そういうきっかけを与えてくれる本として、またそのうち再読しようという気になる。

[J0256/220409]