副題「縁起・伝説の世界を訪ねる」、海青社、2022年。

はじめに
アクセスマップ
聖徳太子の縁起を伝える寺院数のグラフ
第一章 近江の聖徳太子概説
第二章 縁起・伝説の世界を訪ねる
 小野の里
 西教寺
 延暦寺
 日吉神社
 園城寺
 ★石山寺〔大津市〕
 飯道山・飯道寺
 正福寺
 油日神社
 ★佐久良川に沿って〔日野町〕
 金剛定寺
 竜王山(雲冠寺と法満寺)
 吉祥寺と竜王の聖徳太子
 御澤神社
 ★石塔寺〔東近江市〕
 長壽寺
 市神神社
 狛長者
 太郎坊宮
 瓦屋禅寺
 百済寺
 聖徳太子の道
 五個荘金堂と小幡神社
 乾徳寺と小松寺
 ★石馬寺〔東近江市〕
 善勝寺(北向岩屋十一面観音)
 老蘇の森と長光寺
 岩戸山十三佛
 観音正寺
 教林坊
 八幡山と願成就寺
 長命寺
 敏満寺
近江の聖徳太子関連文化遺産一覧
文献

一見、よくある地域の文化財紹介のようであるが、密度が濃い。聖徳太子関連だけでこれだけのスポットがある(日本一らしい)という近江の歴史文化の濃さもであるが、記述もそう。階段の段の数まで記載している。聖徳太子関連の縁起部分は青字で印刷という変わった編集も楽しい。

室井康成『増補版 日本の戦死塚』では、壬申の乱の「異伝」が奈良などの地域に伝わっている話が印象的であったが、近江でも聖徳太子と物部守屋が草津・守山や甲賀、彦根でなど戦ったという伝承が伝わっているらしい。

人魚が出てきたり、竜が出てきたり、あるいは納豆や里芋の起源譚であったり、各地の聖徳太子伝承の内容も興味深い。奇瑞・奇跡のオンパレードで、こういったものが日本の仏教受容のひとつの本質であるとの思いを強くする。

>本書著者のブログ
「オオヌマズの玉手箱」http://omi-rekishi.jugem.jp/

[J0290/220831]