清水書院センチュリーブック、「人と思想」シリーズ、1997年。

第1章 ドイツ時代のハイネ
 幼年時代と学校時代―デュッセルドルフ(1797-1815)
 徒弟時代―フランクフルト、ハンブルク(1815-1819)
 大学時代―ボン、ベルリン、ゲッティンゲン(1819-1825)
 自由な文筆家として―ハンブルク、ミュンヘン(1825-1828)
 『歌の本』(1827)
 ドイツ時代の終わり(1828-1831)
第2章 フランス時代のハイネ
  パリ生活の始まり(1831-1835)
 「若いドイツ」派の禁止
 『アッタ=トロル』
 『新詩集』
 ドイツへの旅と『冬物語』
 晩年のハイネ(1848-1856)

『流刑の神々/精霊物語』を読んでがぜん興味が湧き、こちらの伝記も読んではみたものの。詩人としての側面に集中した本で、そもそも読みたい話とちがっているということは割り引かなくてはいけないけど、読みにくい本だ。詩の紹介・解説と伝記とが入り交じっているし、焦点になるのがハイネの思想なのか性格なのか、当時の社会背景なのか、記述に一貫したものがない。

1821~1823年のベルリン大学在籍中に、ヘーゲルの講義を受講して生涯「偉大なる師」と見なしていたらしいこと、1824年にワイマールのゲーテを訪問して塩対応を受けたらしいこと、1827年にカッセルのグリム兄弟を訪問したこと、もっと後年1843年から若きマルクスと親しく交流を持つようになったことなど、個々の事実は勉強になる。でもまあ、これらのエピソードについても、それ以上のものは読み取れなかった。

[J0356/230419]