光文社新書、2007年。

はじめに 「ちげーよ」と「おひや」「おかか」:共存の不思議、それこそ現代日本語!
第1章 100年前、漱石『三四郎』の女ことばから
第2章 200年前の『浮世風呂』の女ことば:『三四郎』および現代との距離を計りつつ
第3章 「おことば」「もじことば」のルーツを遡る
第4章 『三四郎』より100年後、現代女子学生の言語実態と言語感覚
第5章 女ことばの100年 “まとめ”
おわりに 未来へ向けて:女であり、人間であることの表現史

人文書でもとうぜん、感覚的に合う本・合わない本というものはあるもので。女ことばの歴史を追った本だが、テンポがあわない。僕の感覚からすると、記述が冗長散漫すぎる。まあ、こういうテンポだからこそ、できる研究上の発見というのもあるのかもしれないが。ことばの変化に価値判断は入れないという旨の発言もあったようにおもうが、はしばしに「最近の女ことばの乱れ」を批判するような語り口がにじみ出ているのも気になる。気になりはじめるともういかんのだが、自分の論文をずらりと並べつつ、どうも公平に全体を網羅しているようにもみえない「主要文献一覧」も品がいいとは言えないね。

『ことばの歴史学』(丸善ライブラリー 、1998年)がこの主題では著者の代表作のようだから、そちらを読んでから判断すべきかもしれない。

[J0384/230721]