愛媛県文化振興財団、えひめブックス、1998年。

1.キリスト教伝来
2.キリスト教受容
3.キリシタン弾圧の始まり
4.徳川初期のキリシタン
5.キリシタン禁制
6.伊予のキリシタン
7.禁教令以後の伊予のキリシタン
8.伊予のかくれキリシタン
9.かくれキリシタンの信仰
10.浦上四番崩れ

著者はもともと哲学の方らしいが、この本では、愛媛のキリシタンの存在を追う。とにかく記録が乏しいなか、それだけに数少ない手がかりがとても神秘的に見えてくる。たとえば、能島海軍・村上武吉が自由通行の許可の代わりに宣教師から受け取ったという、ギヤマンの徳利と杯(村上海賊ミュージアム蔵)。豊後から逃げてきた一条兼定が寄寓した現大洲市の平地から掘り出されたキリスト像。同じく平地の、十字が刻まれた妙見祠堂。肩口に十字紋をもつお大師さまの像など。伊予のキリシタンは江戸時代、次第に姿を消していったらしいが、それを「安楽死」と呼んでいるのだけはいただけない。意味もよく分からないし、もっと別の表現があるでしょうよ。

[J0428/231127]