副題「修験道入門」、角川ソフィア文庫、2008年。1991年に角川選書として出版、もともとは1979年の講演ということでいいのだろうか。

第1講 熊野信仰と熊野詣
第2講 羽黒修験の十界修行
第3講 日光修験の入峰修行
第4講 富士・箱根の修験道
第5講 越中立山の地獄と布橋
第6講 白山の泰澄と延年芸能
第7講 伯耆大山の地蔵信仰と如法経
第8講 四国の石鎚山と室戸岬
第9講 九州の彦山修験道と洞窟信仰

歴史に強く仏教にも強い民俗学者、五来重。たんに素朴な自然崇拝でもなければ、画然としたひとつの宗教でもない修験道とは、そういう人でなければ語りにくい対象だと言える。自由自在に山岳信仰を語っているが、もしこれが講演録だとしたら、どの程度準備したものだろうか。もしすべて頭の中に入っているというのなら凄すぎる。

全国各地の山岳信仰を扱っているが、肝心ともいえる吉野・大峯を扱ってないのはなにか理由があるのかどうか。

文庫版オリジナルの解説だろうか、4ページほどの短文だが、山折哲雄氏による五来重評がめちゃめちゃかっこいい。

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