大工原秀子『老年期の性』(ミネルヴァ書房、1979年)。1979年というと、例の『恍惚の人』(1972年)からしばらく経って、老人問題もひろく認識されてきた頃という押さえ方でいいか。

情熱ある保健婦さんが、老人500人以上に取材した、キンゼイ・レポート的研究。とまあ、簡単には説明できるが、この著者がタブーとされてきたこの主題の調査に苦戦したり奮闘したり、また家族の誤解にさらされた老人たちに理解を寄せて状況の改善を図ったり、むしろそういうところが読みどころ。いまなお一読の価値あり。

[J0014/170706]