創元社、2024年。「10代以上すべての人に」という、「あいだで考える」シリーズの1冊。副題が「いのちと価値のあいだ」。中高生との対話からなる。ちょっと自分は対象の読者層からずれているかなと思うので、内容についてはとくにコメントしないが、巻末の読書ガイドをみると、編集者さんもすごく力を入れているなと感じる。

第1回 頼り頼られるはひとつのこと
第2回 私の弱さと能力主義
第3回 開いた世界と閉じた世界
第4回 いのちと価値のあいだ

途中のコラム、「日本語の中の成り行き主義」について。人を主語にせず、事態が自然に進んだように表現するというやつ。よくそれは、責任の所在をあいまいにするという言い方がされる。最首さんは加えて次のように言う。

「逆に言うとそこにね、確かに責任があるはずの「私」をまぎれこませることができる。曖昧に、ぼかすんです。・・・・・・自分には責任がないとは言わず、責任を先へ持ち越そうとするんですね。よくも悪くも私たちには、責任というものを引き受けきれず、自然に先延ばしにしたりぼかしたりしてしまう感覚がある。そうなるとねえ、生きるにつれて、人生がだんだん重たくなっていきます。「すみません」という言い方も同じです。これは「責任をまだ決済していない」ということを「済んでありません」、「すみません」と表現している。「私は責任がない」とは言ってない。「人とのかかわりの中で、私は責任を引きずって生きていきます」っていう意味なんです」(96)。

なるほど、それはほんとにそのとおりだな。ここは反省(?)した。つまり、この「日本的」論理はたんに責任をぼかすだけの心情ではないということ。結論を急ぐな、と。反省。

[J0469/240517]