副題「死からはじまる仏教史」。仏教学の第一人者である著者。個人的には、これまで読んだ本にあまり強い印象を受けてこなかったが、もともと雑誌の連載記事だという本書は、古今の仏典を取りあげて、平易な説明のなかに著者の知識見識が散りばめられていて、とてもありがたい。2009年に新潮社から出版された本だが、今調べたら角川から文庫化されている。そちらも買おう。

第1部 死からはじまる仏教
1 大いなる死―『遊行経』
2 死と生の協奏―『無量寿経』
3 他者と関わり続ける―『法華経』
4 否定のパワー―『般若心経』
5 心の中の地獄と仏―智顗『摩訶止観』
6 禅の中の他者と死者―圜悟『碧巌録』
第2部 日本化する仏教
7 現世を超えた秩序―景戒『日本霊異記』
8 仏教は俗世に何をなしうるのか―最澄『山家学生式』
9 この身のままに仏となる―空海『即身成仏義』
10 贈与する他者―親鸞『教行信証』
11 脱構築から再構築へ―道元『正法眼蔵』
12 宗教国家は可能か―日蓮『立正安国論』
13 異教から見た仏教―ハビアン『妙貞問答』

[J0473/240602]