ぷねうま舎、2017年。著者の専門は日本倫理思想史で、道元について複数の著書を著している。思想史の記述として、勉強になる箇所は多い。

一方、本書は、学問のなかでは批判の対象になることの多い「日本人論」「日本文化論」という体裁を取っていて、それは完全に「あえて」試みているわけだけども、だからといって入念な反批判を用意しているわけでもなく、たとえば、論じる対象についてただ好きなものを取り上げている、といった指摘に対抗するのは難しいという印象。また、それはそれで別に良いとも言えなくもない。

第1章 食と仏教
第2章 武士の思想と仏教
第3章 和とは何か―「和を以て貴しと為」と「和敬清寂」
第4章 徳という思想
第5章 「修行」から「修養」へ―日本仏教の中世と近世
終章 共生の根拠―仏教・儒教・神道

[J0481/240710]