副題「コミュニケーションの社会学」、ちくま学芸文庫、2024年。原著は1998年。

序章 問いを始める地点への問い―ふたつの「社会学」
第1章 思いやりとかげぐちの体系としての社会―存在証明の形式社会学
第2章 「私」を破壊する「私」―R・D・レインをめぐる補論
第3章 外国人は「どのような人」なのか―異質性に対処する技法
第4章 リスペクタビリティの病―中間階級・きちんとすること・他者
第5章 非難の語彙、あるいは市民社会の境界―自己啓発セミナーにかんする雑誌記事の分析
第6章 理解の過少・理解の過剰―他者といる技法のために

最初に出版されてから四半世紀以上が経つが、ご本人の仕事の種類も変わった気がするし(一部の仕事しかチェックできていないけど)、なかなか類書が(少なくとも今は)思いつかない。論文ベースならあるのだろうか。むしろ、今回の文庫化をきっかけにフォロワーが現れてもよさそうな気がする。

最初に読んだときには第1章や第6章に惹かれたものだが、今回再読してみて、以前は気にとめていなかった 第5章の雑誌記事分析をおもしろく感じた。ふつうならそこで満足してしまうような雑誌記事の語彙の整理から、一段階も二段階も奥へと分析を進めて市民社会論にまでいたる知的集中力が印象的。

[J0487/240714]