副題「運動生理学から見た合理的な登山術」、講談社ブルーバックス、2024年。かなり実用的なガイドブック。個人的にはもっと科学的に深掘りしたものが読みたかったが、それは目的がちがうということで。著者は登山のコース定数をつくった人とのこと。

第1章 登山とはどのような運動か
第2章 山での疲れにくい歩き方
第3章 山での栄養補給の方法
第4章 環境の影響から身体を守る
第5章 山で起こる身体のトラブルを防ぐ
第6章 体力トレーニングの考え方と方法
第7章 登山計画の立案と身体面の準備
第8章 安全登山の仕組みづくりとセルフチェック

最高心拍数の推定式は、「220-年齢」あるいは「208-(0.7×年齢)」。乳酸閾値は最高心拍数の75%くらいとのこと。最高心拍数が175ならば、130ほど。このペースを超えないように歩く、と。

傾斜が中程度(20%以上)の坂道を上るときの運動強度は、水平方向ではなく、垂直方向にどれくらいの速さで上っているかという登高速度で決まる。装備が体重の10%以下の軽装の場合、登高速度 300m/hでハイキング程度、400m/h でジョギング程度、500m/h でランニング程度の運動強度があるそうな。上りはゆっくりが原則と。

行動中のエネルギーと水分の消費量。エネルギー消費量(kcal)=体重(kg)×行動時間(h)×5。脱水量(ml)=体重(kg)×行動時間(h)×5。夏の場合、脱水量の係数は6~8程度になるらしい。5時間の登山の場合、65㎏×5h×5=1.6㎏、夏場であれば 65㎏×5h×8=2.6㎏。一時間当たり 320ml~520ml程度。

本書に書いていないが、どうも必要な吸水量は、脱水量×0.7~0.8らしい。食事からも摂れるということ? よく分からないが、一時間当たり 320ml~520mlという数字に 0.7~0.8 をかけると、224~412ml。ほぼ二倍の幅になってしまったが、500ml ペットボトルで一時間から二時間保つと。

[J0491/240730]