中部博『スーパーカブは、なぜ売れる』(集英社インターナショナル、2018年)。

1958年発売のスーパーカブ、2017年には60周年を迎えると同時に生産累計1億台に達したというので話題になったところ。

本田宗一郎の開発過程の話もあるが、北米、東南アジア、南米と販路を広げていくところの話がおもしろい。その点では、ナショナル炊飯器を香港で売る話、中野嘉子・王向華『同じ釜の飯』(平凡社、2005年)の類書になるか。

まだ発展途上だった頃のマレーシアあたりでスーパーカブが活躍している話を読んでいると、その情景が浮かんでくるようだ。日本ではもう、その開放感は感じられられそうもないな。種子島では昔から高校生がスーパーカブ通学をするそうで、テレビCMにもなっていたが、太い道路を車が行き交うのではない、そういう場所だといいだろうなあ。

こういう本だから、生産面だけでなく販売面の話題も多くて、たとえばブラジルで頼母子講の会社をつくってバイクを売っているとかいう話。

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