ポプラ文庫、どちらも2012年、原著は紅の巻が2005年、白の巻が2006年。滅びゆく職業人たちを訪ねるノンフィクション。

【紅の巻】
飴細工師
俗曲師
銭湯絵師
へび屋
街頭紙芝居師
野州麻紙紙漉人
幇間
彫師
能装束師
席亭
見世物師
真剣師

【白の巻】
イタコ
映画看板絵師
宮内庁式部職鵜匠
荻江流家元
琵琶盲僧
蝋人形師
チンドン屋
流し

[飴細工師]「寅さんみたいでイイですねっていわれるのが、実は一番キライなんだ。大体、ああいうテキ屋はいないよ。・・・・・・親分に挨拶もしない。それじゃ、高市に入れないんだよ。それにしょっちゅうネタ(商品)も違うし、ネタが違ってもタンカは同じだし・・・・・・」
[テキ屋さんの本は何冊か読んだが、みんなそう言うね!]

[彫師]「実は三島は自決の一ヶ月ほど前、中野さんのもとにやってきたそうだ。その少し前に刺青に造詣の深い作家と二人で見学に来たのが初回だったが、今度は一人で訪ねてきて、「思うところがあって、ぜひとも私の躯に刺青を彫っていただきたい」と申し出た。それを「作家の気まぐれ」と取った中野さんは断った。三島はその後も何度も電話をかけてきたが、中野さんは応じなかった。そのうち電話は途絶えた。やっと諦めたかと思っていたら、しばらくして、自決のニュース。「意味があっての気持ちだったのか。彫ってやればよかった」。中野さんは深い後悔の念に襲われた」

ラインアップを眺めても分かるように、どれもおもしろい。イタコとして紹介されているのは日向けい子さん。

[J0055/200616]