インターナショナル新書、集英社、2017年。最近活躍が目立つ歴史学者の、一般向け講演をまとめた本。『トラクターの世界史』もよかったが、一般向けの講演をもとにしているだけ、こちらの方が自由な視野で論じていておもしろい。農業技術と戦争との関係を扱ったこの本の第1講・第2講は新しい洞察に満ちていて、このテーマで最後まで書き通していてくれたら、良書を超えて名著だった。歴史学の枠を越えた先行研究のチョイスも含めて、なるほど、こういう学者もいるんだなと感銘を受けた。

第1講 農業の技術から見た二十世紀
第2講 暴力の技術から見た二十世紀
第3講 飢餓から二十世紀の政治を問う
第4講 食の終焉
第5講 食と農業の再定義に向けて
第6講 講義のまとめと展望

[J0056/200620]