新紀元社、2018年。英国好き、パブリック・スクール好きのライターさんが書いた本とのこと、たんに写真集的な本かとおもえば、あれこれの非常に細かな情報であったり、さりげなくパブリック・スクールに批判的な意見も紹介したりと、なかなか密度が濃い。とくに代表的・伝統的な「ザ・ナイン」に焦点を当てる。なお最近は、パブリック・スクールという呼称より、インディペンデント・スクールという言い方のほうが一般的な模様。

第一章 入学まで
第二章 学生生活
第三章 卒業後

たとえば、こんな情報。イギリスの一般的な学校システムの概観。学校ごとの年間費用。制服の細かいルール、おもしろい。衣料品や生活用品の細かな価格。学食のメニュー。学則。それから、ターミノロジーと呼ばれる学校独自の用語。

イギリスだけが、産業「革命」を経験していない、なぜならば、いわゆる産業革命が従来の社会からの断絶を生むことがなく、近世・近代・現代と連続性を保っているから、という発想を述べていたのは川北稔さんだったか? こういう、日本にはないエリート育成システムをみると本当にそうで、しかも国際化しながら伝統を保つことに成功しているように見える。GDPベースの経済指標などでは測れない、イギリスという国の実力を感じざるをえない。

[J0073/200819]