イースト新書、2020年。

序 章 「イノベーター」として君臨した百貨店
第一章 商い――「モノ」が売れない時代に何を売るか
第二章 流行創出――文化の発信地にまだブランド力はあるか
第三章 サービス――「おもてなし」は武器であり続けるか
終 章 かつての「小売の王様」はどこへ向かうのか

著者は『週刊東洋経済』の副編集長だそうで、そのことを反映して、前半は社会史的な記述がメインだが、後半になると小売戦略のあれこれといった業界的な目線からの記述が増える。

いま、こういうご時世からすれば必然かもしれないが、百貨店については衰退史観で描かれている。本書では百貨店のイノベーションを堰きとめた大きな要因を、1937年さらに1956年の百貨店法に求めているので、そのあとの50年以上は全体として「生き残りのためのあがき」の歴史になってしまう。令和を迎えて、「近代日本の歴史」も150年もの長さになったわけで、どんな主題であれ、その通史を書き換える時期にきているのかもしれないね。

[J0101/201114]