河出文庫、2015年、原著2013年.

第1章 戦争に負けてどうなった?占領の話
第2章 知ってる?「55年体制」って何?
第3章 経済大国?それっていつのこと?
第4章 「もうひとつの」戦後日本を見てみよう
第5章 歴史は生きている これからの日本
第6章 歴史はひとつではないが、なんでもありでもない
補章 「戦後」も70年たった…

なーるほど、これは優れた歴史の入門書だ。正直、いままでいくつか読んだ著者の本にはいまいちピンとこなかったが、これは良書。戦後史の入門である以上に、日本の戦後史を材料に歴史や歴史把握の問題を考えた入門書であると思う。

いくつか見出しや文章を、引用しておく。

  • あの戦争を何と呼ぶ?(20)
  • 出来事の呼び方には、つねに、歴史を見る人・書く人の「解釈」が含まれているということです。(22)
  • 何を取り上げ、何をふれずにすますかが、歴史を記すばあいの大きなポイントとなる、ということになります。(44)
  • 歴史は「決まったもの」としてあるわけでは、けっしてありません。(51)
  • 歴史と記憶というのは、異なるけれど、同じところもある・・・・・・。(77)
  • 何が描かれていないか(84)
  • 同じ時代でもみなが同じ経験をしたのではない(115)
  • 置かれた立場によって歴史は異なる(116)
  • そのあとどうなったか、わかっているところから、歴史は語られます。逆に言うと、「いま」から逃げれないのです。(129)
  • 周縁の歴史や深層の歴史を見すえること。これもまた、「歴史とは何か」を考えるうえでけっして欠かすことのできないことです。(169)
  • 困ったことに、一度当たり前になったことに対して、それが当たり前になる以前のことを想像することは、意外に難しいんです。(193)
  • 歴史はひとつではない、しかし、なんでもありでもないのです。(208)

[J0110/201211]