沖浦和光の本[J0002]とも絡んで、香具師あるいはテキヤに関する既読本のメモを。

香具師関連では室町京之介『香具師口上集』(創拓社、1982年)が全編口上風の文章でこの商売の説明をしていて楽しい。『旅芸人のいた風景』でもちょっと出てきたが、テキ屋というのはちゃんと組織があるもので、フーテンの寅さんみたいに単独で勝手に商売するやつぁいないと、本書でもばっさりやっている。

最近のものでは、厚香苗『テキヤはどこからやってくるのか?』(光文社新書、2014年)が、フィールドワークに基づきつつテキヤの歴史から現在まで、一般書ながら研究史の問題などにも触れていてバランスが良い。

いまは国会図書館デジタルコレクションにも香具師関係の情報はかなりあって、有名な和田信義『香具師奥義書』(文芸市場社、1929年)もウェブ上で簡単に読める。

坂入尚史『間道——見世物とテキヤの領域』(新宿書房、2006年)は、舞台が北海道だということもあって楽しみだったが、妙に気取った文体が肌に合わなくて、読み通せず。

室町の本に「石見銀山ねずみとり」の売り歩きという話が出てきて、よそで聞いたことがなかったので気になっていたが、今、検索をしてみたらウィキペディアに記事あり。ウィキペディア「石見銀山ねずみとり」

[J0004/170419]

その後、追加。

神崎宣武『わんちゃ利兵衛の旅』(河出書房新社、1984年)

さらに補足として、1975年の凄いドキュメンタリー『祭りばやしが聞こえる』