春秋社、2017年。

 抱いて/放して
 きのふの空
 エクソフォニー
 顕と冥
 予想嫌い
 レベッカの横取り
 模倣と遺伝子
 ミトコンドリア・イヴ
 歴史の授業
 アーリア主義
 猫の贈与
 お裾分けの文化
 カリ・ギリ・ドーリ
 タンタロスの罪
 「なる」と「つぐ」
 孟子伝説
 面影を編集する
 擬
 複雑な事情
 マレビトむすび

すごく久々に、もしかしたら20年ぶりぐらいにセイゴオさんの本を読んで楽しかった。その間、自分はアカデミックな世界に染まってしまったので、もちろんその目からは突っ込みを入れたくなる箇所はある。でも、いま改めて読んだら不愉快に感じるようになった、ということはなく、昔の古い知り合いみたいに安心した。

セイゴオさんには不本意かもしれないけど、内容以上に文体を読んでいるんだなと思った。これだけあちこちから引用を散りばめたら嫌みになりそうなものだが、短く簡潔な文章で畳みかけて鈍重にならない。その箇所その箇所でセイゴオさん自身が掴んでいるもの、読者をそこに連れていきたいものの有りかがはっきりしていて、引用が自己目的にならないことも、そこに与している。

頭のマッサージのように読んで、それで一節二節、脳裏に残ってふと思い出しなどすればいい。マッサージするメディア。

[J0125/210118]