西日本出版社、2019年。

序 ズワイガニとは?
第1章 カニを都市に持ち込んだ人
第2章 カニツーリズム誕生とカニの流通
第3章 カニ産地を行く
第4章 ズワイガニの日本史
第5章 カニという道楽を守るために

かに道楽にはじまる都会でのカニの食文化から、産地での町おこしやカニツーリズム。漁の実際。それからカニをめぐる文化史。こういう研究を読むのは好きだな。

カニがありがたがられるのは高度成長以降のことで、それまでは産地の人もそんなに価値があるものだと思っていなかったという。この本を読めば、現在にいたるその過程がよくわかる。カニに熱を入れるこの感じ、関西・西日本ではまた独特のものがある。こうして人気が出てみれば、カニって大きさもあるし、色も赤くて華やか。季節感もあるからたしかに魅力のある食材だ。

各地のカニ供養が、日本人のアニミズム的感性から・・・・・・ではなく、町おこしのイベントからスタートといった小話もおもしろい。本書では蟹工船、カニを使った駅弁や、カニかまの話にも触れられているし、あとはカニグラタンとかあれはなんだべかとか、さらにいろいろ想像してしまう。

[J0159/210520]