文春文庫、2007年、原著2005年。

プロローグ 団塊世代とは何か?
第1部 消費する若者
第2部 ニューファミリーの光と影
第3部 マイホーム主義の末路
第4部 存在理由が問われる定年後
エピローグ これから彼らがなすべきこと

団塊世代は 1947から49年生まれらしいから、2021年現在は74歳から72歳となるのか。よくある文化史だけに終わらず、人口動態と絡めた分析が興味深い。が、それに加えて、1958年生まれである著者自身の「声は大きいがロジカルじゃない」「保守性と革新性を併せもった」団塊世代への思い入れ(恨み辛み?)もあちこち濃厚で、正直と言えば正直。たとえば最終章ではこのように批判、「不況の長期化によって、団塊世代の子供は就職が十分できていない。それは、経済学的には、団塊世代自身の雇用を守るために、子供世代の採用が控えられたためであり、社会学的には、団塊世代が働くことの意味を子供に教えなかったためである」(256)。

1960年代の都市における若者文化の勃興は、若者自体に内発的な力があったというよりも、都市における若者人口の大きさによる。独身率が多かったわけではないが、やはり量的な規模の拡大で、独身文化・消費文化を形成した。年上男性との結婚が多かった時代から、特定の年代の人口増によって、同年代どうしの友達結婚というスタンダードを生み出した。などなど。

[J0165/210607]