宮崎寿子訳、世界思想社、2010年。原著は結構古く、1985年。高校情報の教科書を眺めていたら、なぜかこの本が紹介されていたので覗いてみた。以下、抜き書きメモ。

第1章 なぜ教えるのか
第2章 どう教えるか
第3章 どう教えてはいけないか
第4章 メディアを決定づけるもの
第5章 レトリック
第6章 イデオロギー
第7章 オーディアンス
第8章 メディア・リテラシー教育の未来

「情報の供給者と消費者との間にこそ、最大の不平等が存在するのである」;「メディア・リテラシー教育は、自己の利益のために情報を創り出す者と、それをニュースや娯楽として素朴に消費する者との間に存在する知識と権力の大きな不平等に挑んでいくために教師や学生が持っている、数少ない手段の一つなのである」(17)

「メディア教育者は、学生に理解してもらいたいと思う主要な概念を列挙してみるとよい」(32):イデオロギー、非言語的コミュニケーション、ジャンル、アンカレッジ(係留)、レトリック、優先的意味、リアリズム、明示的意味と暗示的意味、ナチュラリズム、ディスコース、構築、脱構築、選択、オーディアンスの配置、神話、オーディアンスのセグメント化、流通、ナラティヴ構造、媒介するもの、快楽、リプレゼンテーション、符号/符号化(シニフィアンとシニフィエ)、主体性、情報源、コーディング/エンコーディング/ディコーディング、参加/アクセス/コントロール。

構成されたものとしてのメディアを検討すべき一般領域(29-30)。
(i) メディアを構成する資料、情報源、決定要因
(ii) メディアの表象が真実だと確信させるために用いられる、主要な技法と記号化
(iii) メディアが構成する「現実」の性質、メディア表現に含まれる価値観
(iv) オーディアンスがメディアの構成物をどのように読み解き、受け取っているか

「次のような修辞的技法に関する知識は、メディアがどのように意味を作り出しているのかをクリティカルに意識化する際、あらゆる年齢の学生の役に立つものであり、おそらく各教科でのメディア・リテラシーの基本となるものである」(157):1 選択 2 映像証拠の曖昧性の活用(イメージのレトリック) 3 イメージと言語テクストの結合 4 カメラ、クルー、レポーターの存在や影響の抑制 5 セッティング 6 フィルムと音声の編集 7 解釈の枠組み 8 視覚的規則 9 ナラティヴ。 

「政治とメディアとの関係を十分に説明するためには、以下について確認することが必要である」(234)
(a)メディアと政府との間に存在する真の緊張
(b)政府内部に存在する緊張
(c)メディア内部に存在する分裂
(d)支配的イデオロギーが、ひんぱんに被支配者集団の利益に訴えかけるように見える事実

巻末に付されている教材資料の中から。
「フットボール・ゲーム」:「サッカーとそれを取り巻く活動について、多様な見解を編集しフィルムを制作する。これには各グループが利用できるように、40のセルティック対アベルデンのゲームのスライドとビデオ教材、20枚の写真が印刷されたシートが含まれる。スコットランド・フィルム・カウンシルより」(370)

[J0196/210905]